塗装とひと言に言っても「焼付塗装」や「粉体塗装」、「溶剤塗装」、「メラミン塗装」など、いろんな種類がありますが、これらの違いを正確に説明できる人は多くありません。
実際、弊社ムラカワでもお客様から「焼付塗装って何?」「粉体塗装との違いは?」とお問合せをいただくことも。
今回の記事では、よく混同しやすい「焼付塗装」と「粉体塗装」の違いについて、それぞれの特徴やメリット、デメリットなども交えながら紹介していきたいと思います。
目次
焼付塗装・粉体塗装の違いって?① :焼付塗装とは
塗装とは、ものの表面に塗料を塗ったり吹き付けたりして塗膜をつくる作業のこと。塗装はものを美しく見せるほか、紫外線や雨風、錆びを防ぐなどの目的があります。
そのなかでも、よく目にしたり耳にしたりする「焼付塗装」。名前を聞いたことはあっても実際にどういったものか分からない、という方もいるかもしれません。
焼付塗装とは、物体に塗装をした後、乾燥炉にて乾燥をして熱硬化させる塗装方法のことです。ただ焼き付けて乾燥をさせることを指しているのではなく、焼付塗装では焼付専用の塗料を使用して塗装していきます。
ちなみに二液形ウレタンなどの強制乾燥は焼付塗装ではありません。
焼付塗装の種類にはメラミン焼付塗装、アクリル焼付塗装などの種類があり、以下のようにムラカワでもさまざまな焼付塗装を手がけています。
【ムラカワで手がける焼付塗装】 ・メラミン樹脂焼付塗装 ・アクリル樹脂焼付塗装 ・一液ウレタン樹脂焼付塗装 ・フッ素樹脂焼付塗装 |
上記のそれぞれの塗装がどういったものなのかはHP内でも詳細をご紹介しているので、参考にしてみてください。
>関連ページ:「事業内容」
焼付塗装の特徴
焼付塗装は鉄やアルミニウム、ステンレスステンレスなどといった金属などの素材に塗装をし、塗料にもよりますが110℃〜180℃ほどの熱を20分程度加えて焼付乾燥をしていきます。
常温になるとすぐに性能を発揮するのが特徴です。塗料の性能によって耐候性や耐熱性、耐久性などは異なりますが、ウレタン樹脂、フッ素樹脂塗料は特に優れています。
用途としては工業製品や看板、電気機器、建築の内装部材など屋内外の使用を問わず幅広く使われています。
焼付塗装・粉体塗装の違いって?② :粉体塗装とは?
一般的に塗装といえば溶剤の塗料を使用しますが、「粉体塗装」とは文字のとおり粉状の塗料を用いた塗装のことです。
別名「パウダーコーティング」とも呼ばれ、顔料や樹脂、添加剤などを細かく粉砕して粉末状にした塗料を使います。色を塗る、というよりも細かい粒子でコーティングするようなイメージが近いかもしれません。
粉体塗装では物体に粉体の塗料を吹き付けて付着させた後、乾燥炉で加熱することで塗膜をつくり塗装していきます。よく「焼付塗装と粉体塗装の違いって?」とご質問を受けることがありますが、塗料を付着させた後に熱を加えて硬化させるといった意味では、粉体塗装も広い意味では焼付塗装の一種といえるでしょう。
粉体塗装の特徴
「粉状のものをどうやって物体へと付着させるのだろう?」と不思議に思うかもしれませんが、粉体塗装には静電気を利用した静電粉体塗装法があります。
ムラカワで採用しているのもこの「静電粉体塗装」で、アースにつなげて被塗対象物をプラスへと帯電させ、マイナスに帯電させた粉体塗料をスプレーガンで吹き付けていくことで、静電気のプラスとマイナスの引き合う力で塗料を付着させていきます。
こちらも耐候性や耐食性などに優れ、工業製品や車、家具のほか、ガードレールなど過酷な環境にも耐えやすいため長期間屋外で使用するものにも採用されることがあります。
焼付塗装・粉体塗装の違いって?③ :メリット・デメリット
焼付塗装、粉体塗装のそれぞれの特徴を知ることで、それぞれの違いが見えたでしょうか。
より理解を深めるためにも、ここではそれぞれのメリット、デメリットの違いについて解説いたします。
焼付塗装のメリット・デメリット
耐候性や耐熱性、耐久性などに優れているとご紹介した焼付塗装ですが、どのようなメリットとデメリットがあるのでしょうか。以下が焼付塗装のメリット、デメリットとなります。
【焼付塗装のメリット】 ・高熱で硬化するため強固な塗膜が完成される ・数十分の焼付乾燥後に粗熱が取れたらすぐに使用でき、短期で納品が可能 ・焼付塗装の種類によって外観の美しさや耐久性の強さなどが選べる ・2回塗りをしても自然乾燥に比べて早く乾燥する 【焼付塗装のデメリット】 ・高温で塗料を焼き付けるので焼付塗装専用の塗料が必要 ・加熱の必要があるた対象物は高温に耐えられるものに限定される ・焼付の施設が必要のため依頼できる業者が限られる |
粉体塗装のメリット・デメリット
耐候性や耐食性に優れており、人々の生活のなかでも幅広い場面で活用されている粉体塗料。
粉体塗料のメリット・デメリットは以下になります。
【粉体塗装のメリット】 ・耐用年数が約15~20年と長く耐久性に優れている ・一度の塗装で高い膜厚を得られるため腐食が進行しづらく錆びにくい ・塗料のロスが少なく使用量を抑えられる ・塗料に揮発性有機化合物が含まれていないので環境に優しい 【粉体塗装のデメリット】 ・静電塗装の設備が必要となり、塗装を行うのに初期コストがかかる ・塗膜表面に凸凹ができやすく外見がよくない ・膜厚を薄くすることが難しく塗り替えが困難 ・導電性、耐熱性のないものには塗装ができない |
焼付塗装と粉体塗装は技術も大切⁉
上記にて焼付塗装と粉体塗装について、どういったものかご紹介してきました。
ちなみにムラカワではこれらすべてを手作業で行っており、手作業ゆえに多品種に対応できるため、実際にさまざまな製品を扱っています。
いずれも塗装を行う上で大切なのは塗装前の下地処理を丁寧に行うこと。
製品に付着している油分を取り除くためにウエス(シンナーを染み込ませた)での脱脂を徹底しています。また、研磨工具やパテを用いて塗装面を平滑に仕上げることによって塗装後もより美しい仕上がりとなります。
塗装をするうえで資格などはいりませんが、ベテラン経験者でも取得が難しいと言われている1級塗装技能士という資格をムラカワでは3名が所有し活躍しています。
またスキル習得は基本的にベテランと若者のマンツーマンで教育(現場でのOJT)。美しい品質を保つためにも品質保証課が作業手順書を作って発行しており、それを活用しながら日々教育を行っています。
焼付塗装や粉体塗装のことなら確かな知識と技術の「ムラカワ」まで!
ムラカワでは広島市安佐北区を拠点に金属焼付塗装やメラミン塗装をはじめ、アクリル塗装、ウレタン塗装、フッ素塗装、粉体塗装などさまざまな塗装に対応しています。
最新機械にも負けない職人技で、目指しているのは世界一の塗装屋です。
「確かな技術で明日を彩る」をモットーに、日々社員一人一人が塗装の知識を深め、技術や品質の向上を求めながら適正価格でお客様が信頼できるサービスを提供するよう努めています。
「こんな特殊塗装をお願いしてみたい」「大量の塗装に対応してほしい」など、ご要望に沿った提案をさせていただきますので、どんなお問い合せでも気軽にご相談ください!